- 製品名
- ジェイコア
- 方式
- 撮像式機上工具測定装置
- セット内容
- 測定ヘッド・コントロールBOX・ノートPC
- 表示分解能
- 0.01μm(10nm:10万分の1mm)
- 発売開始
- 2003年
- 撮像範囲
- 3.5×2.7mm(最大測定径:45mmφ TYPE-M)
6.4×5.1mm(最大測定径:45mmφ TYPE-0132) - 測定項目
- 工具径測定
工具長測定
工具R測定
指定角度座標測定(OP)
エンドミルRの180°(180ポイント)座標測定(OP)
異型ツールの指定箇所測定(OP)
摩耗測定(OP)
折損検出(OP)
その他 特注対応もいたします。
- ヘッドサイズ
- W268 × H94 × D60mm(TYPE-M)
W189 × H94 × D60mm(TYPE-0132) - 耐環境性
- 1気圧防水(水深10mでの連続使用に耐えます)
- モデル
- 上記記述は標準のTYPE-M、およびTYPE-0132です。他にも小型ヘッドサイズモデル、撮像範囲拡大の専用モデルおよび特注モデルも承ります。詳細はお問い合わせ下さい。
ジェイコアについて
開発の目的
開発を開始した1998年、環境は団塊の世代の一斉定年退職を約10年後に迎える状態でした。弊社も含めたものづくりに携わる様々な企業は屋台骨や製品づくりの中心となっていた職人世代を失うことになります。何か対策を講じませんと、その方たちが創り上げた技術やノウハウも同時に消滅してしまいます。本製品はその中の一つの技能伝承を目的として開発が開始されました。
様々な試行錯誤の上に製品化されましたが、発売を開始した2003年から3年ほどの市場の反応は、精密加工を行うための生産財という受け止められ方が大半でしたが、2007年からは失われた技術を取り戻す。職人の技の代替として購入されることが殆どとなり、現在では販売台数の97%以上が一般的な加工現場に自動運転や省人化、無人化の道具として購入されております。
本製品は職人たちが目や耳や触覚で行っていた【あたり】を画像を用いて工具の長さ、径を測定することで熱や摩耗で刻々と変化する工具と材料の相対座標を補正致します。これにより、常にプログラム通りの精度で製品加工が行えるために自動運転システムへの手助けになります。
一方で加工機械やオペレーターを選ばないためにシフトも組みやすくなり、また高価な加工機械を長時間、無理なく稼働させられるので減価償却費の低減や工期の短縮等で製造原価も格段に低減させることが実現されます。
生い立ち
時代は少々戻ります。開発が開始された1998年以前にも、この【あたり】を検出させるために、接触式やレーザー方式の測定器は存在しておりましたが、接触式は回転中に測定できず、また小径の工具では破損が発生します。レーザー方式は工具の先端形状が異なりますと、工具長測定にバラツキが発生し特に加工回転数が異なるATC後の工具では容認できない段差が発生しました。当時、これらの誤差は職人たちが経験と勘で補正していたのが現実です。
既存技術を超える、或いは職人たちに代わる技術を創造しなければ、今まで製造できていたものさえ困難になり企業の存続さえも危ぶまれます。様々な技術(振動・荷重・音等)を実験検証しましたが、どれも一長一短で実稼働には難しい結果でした。
様々な試験の末に、最終的に【人の目に勝る技術は無い】という結論に辿り着きました。この負の発想が逆に画像を用いて測定するという技術の開発に繋がります。
2001年に社内の加工機械にカメラと照明を取り付け実証試験を行い、ATC後に回転数が異なる工具先端の座標を正確に取得し、それを元に補正を行い段差がない加工をすることに成功します。社内設備のために簡単な筐体を製作して2002年より運用を開始しました。
金型や精密治工具の製造を生業としていた弊社では、お客様に実加工現場をご見学頂くのが一般的でした。この際にこのシステムが注目され発売を請われたのが製品化へのきっかけでした。
製品化へ向けたプロジェクトを開始し、皆様のご協力を得て2003年に発売を開始致しました。2003年当初よりNCとの通信を自動で行いたいというご希望を頂いており、都度、個別で対応しておりましたが、2007年ごろから測定結果を自動でNCに入力させたいというご要望が大半となり、製品の標準仕様としての通信システムの開発が開始されます。約3年を経て2010年に通信による自動運転の実証試験が始まり、様々な試験・改良・実証を繰り返し、2014年にNCとの通信標準仕様を発売しました。
以降は製品のダウンサイジングや精度、使い勝手の向上、測定項目の追加を繰り返しモデルチェンジを行っております。
まだまだ書ききれない失敗や試行錯誤の歴史が御座いますが、ご興味が御座いましたらお打合せの際に触れられたら幸いです。
製品の歩み
- 1998年10月
- レーザー方式、接触方式に代わる工具径・工具長測定器(後のジェイコア)開発開始
- 1999年4月
- アコスティックエミッション、高精度ロードセル、高精度加速度ピックアップ技術を採用した測定器をそれぞれ試作し実験を開始 (1年以上様々な試験を繰り返すが、すべて実用には適さないと判断される)
- 2000年7月
- 職人さんの技からヒントを得て画像を用いた測定器の開発を開始、同時に光学系部品の設計製作を開始
- 2001年5月
- 画像を用いて加工機械上では世界初の工具測定実験成功
- 2002年7月
- 社内設備としてマシニングセンターに設置し、実証運用開始
- 2003年4月
2003年10月
2003年12月 - 製品化へ向けて測定プラットフォーム(後のジェイコアエンジン)開発開始
新技術開発財団 第72回 新技術開発助成採択
TYPE-S10の発売を開始 - 2004年5月
- 特許第4800590号(極細工具長の測定装置、及びその測定装置を用いた基準位置設定装置及び傾き測定装置)取得
- 2005年2月
2005年4月
2005年11月 - 異分野連携新事業分野開拓計画認定(新連携)採択 1期目実施
第17回中小企業優秀新技術新製品賞 優秀賞 受賞
TYPE-A02a発売 - 2006年2月
2006年4月
2006年6月 - 第一回渋沢栄一ベンチャードリーム賞 受賞
異分野連携新事業分野開拓計画認定(新連携) 2期目実施
特許第5021957号(工作具検査装置)取得 - 2007年3月
2007年4月 - 埼玉県ベンチャー企業優良製品コンテスト 優秀賞 受賞
異分野連携新事業分野開拓計画認定(新連携) 3期目実施 - 2008年7月
2008年10月 - 特許第53077462号(測定装置)取得
埼玉県ベンチャー企業ネクストステージモデル企業指定 - 2009年3月
2009年8月
2009年10月 - 特許第5437679号(工具測定装置、ワーク加工装置)取得
TYPE-A02b発売
サポーティングインダストリー(ものづくり基盤技術)採択 - 2010年1月
- 牧野フライス製作所様製 V33iにジェイコアを搭載し理化学研究所IP101研究室にてNCとの測定データ通信による自動運転試験開始
- 2011年9月
2011年9月 - TYPE-B02発売
ジェイコアシリーズの販売を販売店に移管(顧客特注仕様を除く) - 2012年5月
- ジェイコアエンジンのOEM供給開始
- 2013年6月
- 焼き嵌め機能・ATC付きツールプリセッター(ジェイコアエンジン搭載 ストッカー30~200本)開発開始
- 2014年10月
- TYPE-B02Ver'7(自動運転・NCとの通信標準仕様)発売
- 2015年6月
2015年10月 - 平成26年度ものづくり・商業・サービス革新補助金 採択
正規販売店様、専門工事業者様向け社内講習システム運用開始 - 2016年4月
2016年7月 - TYPE-M発売
平成28年度埼玉県次世代新技術・新製品開発支援事業費補助金 採択 - 2017年2月
- ジェイコアエンジンの派生系 不良品自動判別装置のOEM供給開始
- 2018年3月
2018年9月 - 「加工支援装置、加工支援方法」 特許出願 同時に審査請求
「加工支援装置、加工支援方法」 特許取得 特許第6399675号 - 2019年12月
2019年12月 - ジェイコアエコノミータイプ TYPE-E発売
機上ツールプリセッター TSシリーズ発売