防水技術

意外かもしれませんが、ジェイコアのカバーも含めた防水技術は、有人潜水調査船しんかい6500のカメラや照明を製作しているチームが設計・製作しております。
「何故?」 「そんな大げさな」と思われる方もいらっしゃるでしょう。ですので少しだけ経緯をご紹介させて頂きたいと思います。

しんかい6500


防水規格に関する規格ですと市場にはIP規格が存在しております。最初に、このIP規格をご説明申し上げます。
例:IP66、IP67等の形で表記されます。

 

第一記号(左の桁になります)に対して「人体及び固形物に対する保護」※防塵性能について

種類 説明
0 無保護 特に保護はされていない状態
50mmより大きい固形物に対する保護 直径50mmを超える固形物や人体、足などが内部に侵入しない
2 12.5mmより大きい固形物に対する保護 直径12.5mmを超える固形物や人の指先、または80mm以下の体の一部などが内部に侵入しない
3 2.5mmより大きい固形物に対する保護 直径または厚さが2.5mmを超える物が内部に侵入しない
4 1.0mmより大きい固形物に対する保護 直径または厚さが1.0mmを超える物が内部に侵入しない
5 防塵形 粉塵が内部に進入することを防止する。少量の粉塵が侵入しても動作に支障をきたさない
6 耐塵形 粉塵が内部に侵入しない

 

第二記号(右の桁になります)に対して「水の侵入に対する保護」※防水性能について

 

種類 説明
0 無保護 特に保護はされていない状態
滴下する水に対する保護 鉛直(重力の働く方向)に落下する水滴を受けても有害な影響がない
2 15°傾斜した時に落下する水に対する保護 対象物が正常な取り扱い位置から15°以内の向きで傾いているとき、鉛直落下する水滴を受けても有害な影響がない
3 噴霧水に対する保護 鉛直から60°以内の範囲で水滴が噴霧状に落下しても有害な影響がない
4 飛沫に対する保護 すべての方向から水の飛沫を受けても有害な影響がない
5 噴流水に対する保護 全ての方向からいきおいのある水を直接当てても有害な影響がない
6 波浪に対する保護 波浪、またはすべての方向から強いいきおいの水流を受けても有害な影響がない
7 水中への浸漬に対する保護 一定の水圧で一定時間(30分間)水に浸かっても有害な影響がない
8 水没に対する保護 連続的に水中に置いても有害な影響がない。水没の条件については製造者が規定する。原則的に密閉構造であること

 

ご覧になって頂いたように、結構分かりにくく、且つ、第二記号の8に至っては製造者が規定すると有るように定量的な単位ではなくなってしまいます。

そこで定量的に誰にでも分かるような表記を目指し、10m防水と致しました。

加工機械の中は、激しい切削液やミスト環境で有ることが一般的です。また振動や衝撃を含めた過酷な環境に晒されます。チームが長年の経験から得た知見を製品に応用することで耐環境性だけでなくライフサイクルも伸ばすことが可能となりました。これらのアイデアや設計思想は実践で培ってきた経験に基づく知識から創られます。本製品はカバーを含めたヘッドシステムが10m防水で製作されており、水深10mでの連続稼働が可能となっております。
※屈折率が異なりますので水中での測定は行えません。

2017年10月11日